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副島園の考え方

佐賀嬉野という土地に根ざし
生産者として誠心誠意茶を栽培し
人と人をつなぐお茶をつくりたい。

緑茶、紅茶、抹茶、烏龍茶、ほうじ茶、玄米茶など、お茶には様々な種類があります。しかし、実は同じ「チャの木」からそれらができていたことをご存知でしょうか?品種は様々なものがあるのですが、その素は「チャの木」であり、加工方法によって、緑茶や烏龍茶など様々な形を変え、みなさんの生活に行きわたります。
副島園では、生産者として無農薬・減農薬にこだわりチャの木を育て、収穫し、安心して飲めるお茶をつくることを心がけ、そのお茶が、様々な方の生活に寄り添い、リラックスしてもらう時に飲んでもらう、ホテルなどで土地を感じるものとしても機能する、料亭などで、最後の締めとして美味しく飲んでもらう。など、人々の日常・非日常分け隔てなく心身に寄り添えるものにしていきたいと思います。お茶を会して人が集えばよいなという想いを込めて、お茶の葉を人に見立て曼荼羅のようなロゴをつくりました。今後長く、人と人をつなぐお茶であってほしいと願いながら、誠心誠意、チャと向き合いながら生産をしいきたいと考えています。

一家相伝。その時代に合わせながら、
家族一丸で無農薬・減農薬でお茶と向き合う。

曽祖父の副島梅一が創業した佐賀県嬉野で創業した副島園は、現代4代目の副島仁が切り盛りして代々茶園を営んでいます。高度経済成長の時代は、国土が狭い日本において、大量生産で、面積が狭い中でどれだけ収量がとれるかという中で、父・副島敏之の代の途中までは、化学肥料や農薬を使っていたのですが、ある時期から、父が農協などの基準にただ従いお茶を生産し出荷するのではなく、農園独自の基準を設けて、無農薬、減農薬に切り替えようと試みはじめました。約25年前、1990年代のできごとです。みなは設備投資をし、農園を拡大しようとしている中で、大量生産で茶の品質を落としたり、農薬を使い量を求めるよりも、面積はそのままで、しっかりとした無農薬・減農薬にこだわって、直接お客さんへ、飲んでもらう人に届けようという試みです。現代では主流になってきた和紅茶の生産もいち早く試みをはじめたのも父の敏之。活動としては「新しいことを何か模索していこう」という精神を持った家系です。

現農園主の仁が農園に入ったのは20年前である1997年、20歳の時です。その時はまだ全農出荷をしていて、父が少し直売を試みはじめていました。まだ5%程度が直接飲んでもらうお客さんに届けるという方法でした。それからは、コツコツと一般生活者の方へお茶を伝える活動を続け、仁が就農してから11年目、ようやく全て直売という形式に変わりました。現在は直売所なども含め、ホテルや旅館、飲食店、ドイツへの輸出、直接お客さんへの郵送を行なっています。自分たちで茶の選別や基準を決めたお茶の味で、お客さんに届けるということを行なっているところが重要なポイントだと考えています。(ヨーロッパ、ドイツなどは残留農薬などに対して厳しい基準が設けられているので、それにも対応できるレベルというお茶でもあります。)

当主 副島仁
(そえじま ひとし)

1976年12月25日、佐賀県嬉野市生まれ、静岡県島田市にある国立茶業試験場を卒業後、稼業である副島園に戻り茶農家として従事する。父敏之とともに、無農薬・減農薬栽培に注力し、現在ではうれしのの旅館、茶農家、窯元と共に嬉野茶時・茶寮というお茶を広めるための活動も精力的に行う。

◯ルーツであるうれしの茶について


中国由来の釜炒り製法をルーツに、
日本独自の蒸し製法と合体させた蒸し製玉緑茶。

うれしの茶は佐賀県嬉野、長崎県東彼杵にかけて生産されるお茶であり、約500年の歴史のある茶産地です。起源は永享12年(1440年)、「釜炒り茶」発祥の地とされる嬉野は1504年に陶工である紅令民が明から釜を持ち込み、南京釜による炒葉製茶法を伝えたことが、嬉野式の釜炒り茶の始まりとされています。江戸時代には嬉野茶を蒐集した学者シーボルトをはじめ、当時の釜炒り茶の香ばしさは人々を魅了し、それは長崎から欧米へと輸出されてもいました。釜炒り茶は現代の深蒸し茶と違い、釜で炒り生産する方法です。この釜炒り茶がルーツにあるうれしの茶ですが、現在はうれしの茶も深蒸しが主流になっており、釜炒り製法のお茶は全体の1割ほどしか残っていません。副島園においても、釜炒りはルーツに持っていますが、深蒸しで製法を行なっております。釜炒り茶の特徴は釜で炒る時に、茶葉がグリッと曲がることであり、そのグリっとした玉のような茶葉の形状からグリ茶とも呼ばれています。嬉野はこの釜炒り茶をルーツに持ちながら、「炒る」製法から「蒸し」に変わっていったので、蒸し製玉緑茶という風に呼ばれています。釜炒りだと、黄色味を帯びた香ばしいお茶になるのに対して、深蒸しでやると、深い緑色が出て、甘さとコクが深いお茶になるので、うれしの茶のルーツも踏まえてお茶を楽しんでもらえたら嬉しく思います。